a.o個人ブログ

詩や創作文章、祈りについての考察を個人的に公開しています。

【詩】四万十川


四万十川をまだ見たことがない
あなたの青春も見たことがない
それでも水滴なのだ、私たちはいつだって水滴なのだと私は言って
あなたの嘴を撫でる

 

濁流の内から湧き起こり
たった一点の、対の瞳を持った私よ
静かに根を張りなさい心の大河に

 

大河から湧き起こり
たった一粒の命を持ったあなたよ
私とこの瞬間瞬間を死して尚
永遠に生きなさい
手を取り
海まで
見たことのない四万十川を渡って行きましょう一緒に
生きましょう一緒に

 


私は心の内に居て
青い夜を見ている
あなたの旅した、四万十川にかかる長い長い橋を
春の匂いを嗅ぎながら渡っている
山の合間から
満月が顔を出している
靄を纏い
虹色に輝きながら こちらに手を振っている
橋を渡り終えて
振り返ると、月は雲に隠れている
もう
橋を引き返してもあの満月は無い


一瞬しか到達出来ない場所に私たちは常に居る

 

あなたの嘴を撫でながら私は言う
一緒に死にましょう
私とこの瞬間瞬間を死して尚
永遠に生きましょう
見たことのない四万十川を渡って海まで
行きましょう一緒に
全ては濁流の内から湧き起こり
瞬間毎に死して尚生き延びて行く
誰かと死にたいと思ったのは
はじめてなのだ

誰かと生きたいと思ったのはその実 はじめてなのだ

 

私たちはいつだって濁流の一点であり、満月である
私は
あなたの嘴を撫で
見たことのない場所まで一緒に飛びましょうと
挑戦の約束をする

 

永遠の渦へ

飛び立ちましょう四万十川へあなたと 一緒にまだ見ぬ故郷へ還りましょう

未来へ 生きて行きましょう 愛しい鶴よ