a.o独白ブログ

詩や創作文章を公開しています、時に汚濁あり時に18禁あり、綺麗な場所ではございません、あしからず。

無題(詩)

 

 

湿った夜の山道で
自家用車に乗せてもらった
ああ
女の人の匂いがする
どうして?

 

首つりしようとしてここに来たけど
ムカデが身体を這うから
帰ることにしたのという私と
女房を殺したばっかりだっていう男の人の
微笑

 

つい食べたくなって食べちゃったの
もう何匹食べても一緒だから
そう思ったら
命っていうのは
なんて美味しいんだろうね

 

おなかの袋は
まだ要るの
そこには苦痛と夜空と
快楽がたっぷり詰まっているから

 

酒は飲めないのかって残念がるから
精液なら蜂蜜容器何本分でも飲めるって嘯いてあげたの

 

どうも妙だね
この車
なんだか

 

夜空を手放してはならないってあれほど
お母さんから言われたのに私
星空ごと命ごと
飲み込んでしまった

 

透明な蜂蜜容器の中に
あなたの星屑をぜんぶ
ちょうだい
それをちゅうちゅう
おっぱいみたいに吸いながら過ごしたいの

 

浮気してた女房を殺したんだっていう
男の人の話は面白かったよ

 

命は美味しいから
やめられないんだ
私は
命が生じる度に泣きながらそれを食べているの

 

私の笑い声に
虫唾がはしったっていうその男の人の
両手が
私の首に食い込んでいる

 

おなかの中には夜空が入っている
飲み込んでしまったから
暗い山道に虹色が見えるよ

 

車の後ろには
アイロンで殴った女房が入っているって
嘯くあなたの
投げやりな態度と
その女の人の隣に寝かされた動かない私は
もう有機物だね

 

いつまでも夜が明けぬ
この山道はどこまで
続くのかしらね

 

この車は
私のおなかの中みたい

 

この車は
暴力と慈しみが全部
入っている蜂蜜容器みたい

 

命が
分解されて詰められている
でも質量は変わらない
そうでしょ?

 

この車は
夜空
そのものみたい

 

私たち
いつ生まれるのかしらね
私たち
車ごと
私のおなかの中に
入り込んでいるのかしらね

 

観測者のついに
消え失せるそのとき

 

全てが
無題になる