a.o独白ブログ

詩や創作文章を公開しています、時に汚濁あり時に18禁あり、綺麗な場所ではございません、あしからず。

寒いので夕日を食べる【詩】

寒いので夕日を食べる、もうすぐ冬至なのだ、身体には日の光を蓄えなきゃならない、地面に属する構成のものは、太陽が少なくなると脆くなってしまう、それは人間とて同じだ。

 

橙色のもので代用できる、ぎっしり詰まった夏の身体が恋しい、柔らかく湧き出る春の身体が懐かしい、余分なものが地面へと還りすっきりとしてゆく秋の身体が、私は好きだった、もう冬が身体の内部へと伸びる枝葉の先端まで迫ってきている、枝葉は枯れて冷えている。

 

そういうものだよと私は言う…嘆かずともよいと私は言う。

冬なのに秋のままに、身体から、地面へ栄養を還している状態の人を目にすると、「まだ若いようだ」と私は言う。

それは世辞でも無く、うらやむ気持ちでもなく、事実を私自身に告げるために私は言葉にするのだ、そうすることで冷えた心身が少し、暖かくなる。

 

枯れ枝を拾い集めた、私は植えられた木の、葉の生らない枝を見つけては手で手折った、そういう枝は自分が去るのを、待ちわびているかのようだった、生まれ変わるのを待っているようだった。

私は木々に言う、じきに冬至だから、身体には日の光を蓄えなきゃ生らない、地面に属する構成のものは、太陽が減ると脆くなってしまう、それは木々とて同じだ。

木々は何を食べるのだろうか、木々は日の光と土とを口に入れ、虫の愛撫と、風の衝撃と重力の届かない場所からの涙を何より愛している、では人は何を食べるのだろうか、何を愛しているのだろうか。

 

私は窓辺に立ち、薄い膜のような綿織物を引き上げた、口を開けてその時を待った、いよいよ日が傾いて橙色の一筋となって私の内部へと進んでくる。

 

今、橙色の太陽を食べている、その味は、すべての死者の最後の体温の味、あなたの、何故だか赤い髭の毛先の味、これから生まれるすべての卵の黄身の味、それが私の、脆くなった身体の隙間を少しずつ満たしてゆく、その温度を私は手放さないようにする、それが冬の、地面に属する構成のものの仕事、存在を目的とするものすべての役目である。

 

寒いので夕日を食べる、脆い私は、ぴんと膜の張った私を懐かしく思いながら、冬至を待つ、口の中で橙色の熱い火がパチパチと瞬くのを楽しみながら、手折られるのを、生まれ変わるのを、ただ一人待っている。