a.o独白ブログ

詩や創作文章を公開しています、時に汚濁あり時に18禁あり、綺麗な場所ではございません、あしからず。

ポエム【詩】

空気の澄んだ午後に、バスに乗っていて窓越しに外を見たら、落ち葉の舞い散るただ中に、妙に好みの男が立っていたので思わず私は凝視した。

 

意外なほど温度を感じる冬の日差しのせいか、マフラーを取りさって顔を上げた彼が、なんとこちらを見つめ返してきた、ほんの少しだけバスは動き、停留所に止まった。

 

彼はゆっくりとバスに乗ってきた…私は彼を見ないようにしたが、なんと彼は臆すること無く私の隣の座席に腰を下ろして、私を見ていた。


私は動揺しながら、さっきは見つめすぎてしまったと謝罪した、彼は上品な服装に身を包んでいた、私は自分の身なりというものを考えていなかったことに、見つめられて気付いたのだ。

 

しかし彼は言った、いいんだよこのままで、しかし彼はそれ以外特に言葉を発しなかった、私の話す言葉に対しても特に反応する様子も無かった、手の甲と甲とだけが触れ合うような状態が、はじめのうちこそこそばゆい快楽をもたらしたが、やがてつまらない、どこか窮屈なものとなった。

 

今言いたいのは…ちょっとの間ですら、あなたのような素敵な人と隣り合わせに座ることが出来て光栄だった、普段はお風呂に入らない感じの人とよく乗り合わせてしまうの、私はヒエラルキーについて考えていたの、あなたと会うたびに考えていたの、一億以上するあの家を見て思ったの、あなたの鮮やかな服を見てわかったの、それを落ち着き払って身に纏うあなたのことや、団地のカビた壁を思い出しながら考えたの…それでも、逆恨みほど物事をつまらなくさせる現象は無いって私は思うようになったの。

 

やっぱり私は残念でならない、この話をあなたにすることも無いのだから。

 

もし引き留めてくれるなら、あなたが何を考えているのか聞かせてね、景色の中であなたが浮かび上がるように鮮やかなのは、きっと音楽の中で育ったせい、唄の色が染みこんだせいだよ、だからあなたは美しい、あなたからの言葉は少ないので、私にわかるのはあなたの外見だけ、何故だろう、もう寒いせいかな…なんだか目が潤むし鼻も出る、だから顔を拭っているの、色鮮やかなあなたから目を背けているの。

 

私は立ち上がるために身をよじった、彼の視線を頬で受け止める、ああ、そうだな、私も彼の目を見るのは苦手だったんだ、なんか苦手だったんだ、美しいから苦手だったんだ、だから一人で、彼がどこかに視線を泳がせているときに見つめていたのだった、彼が何か言うなら私も彼の目を見なければならないのだ。

 

乗っているバスの窓越しに、私はあなたを見つけて凝視した、顔を上げたあなたはこちらを見つめ返してきた、そういう人とのことを一つの水晶に閉じ込めて何度でも愛でていたいの、香水にして冬の日の香りを閉じ込めてもいい。

 

だから私はあなたにしたかった話や理不尽さを、ひとつにまとめて書くことにするよ、それを誰かが読んだり演じたときにこそきっと、私たちの関係というものが完結すると思うの、人間関係を完結だなんて、確かに私は病的だね、あなたが…私の苦手なあなたが口を閉じるのも理解できるの、もしかしてあなたも私が、苦手なんじゃない?

 

前みたいな引き留め方はやめようね、お互いの面前に中指を立てることもやめようね、お互いの目的地へ着いたら、バスから降りて、そしたら今度は、手を振り合おうよ、それだけを約束にしよう、ね、私の苦手な、とても美しい人。