a.o独白ブログ

詩や創作文章を公開しています、時に汚濁あり時に18禁あり、綺麗な場所ではございません、あしからず。

☆近親相姦【性】

近親相姦というものは起こりうるなと思ったことが私にはある、避けがたいこととして、ではなく私自身が半ば望んで結合するという形の性交である。
垂れ目がちなどんぐり眼に、私とは似ていない薄い眉、薄い髪の毛、そしてがっちりした体躯、大きな足…彼の半分は私の血で、もう半分は私が選んだ男の血が混ざっているかのような相手だった。
その相手が私の乳房を吸うとき、独特の快楽があった、彼は他者ではなかった。

 

「私の息子」

 

という言葉が血液の中を巡って喉元まで来た、彼がせがむことは何でもやった、彼の糞尿も汚くはなかった、そういう行為の中に他者とついに混ざり合う意味が含まれていた。
そして思った、こいつは危ないな、こいつと子供を作ったら子供は犯されるかも知れない…そして気付いた、自分の中にも近親婚の影を見た、彼を兄のようにも感じた、確かに気軽に欲求を満たせる相手ではあった、互いに汚いので何をしても平気だった、そこにすべての鬱憤が晴らされる効果があった、双方が望んでいたとはいえどこか嫌悪感もあった。

この関係の欠点を言うならばつまらなく、すぐに互いに飽きた、もっと興奮する事をしたいよねとよく話した、気が合った、私たち自身が近親婚の遺伝子を受け継いだ人間であると私は強く思っている。

 

山に囲まれた街にある、父方の祖父母の家に一人でしばらく泊まったことがある。

布団を敷いて朝寝坊していたら祖父が来て私の上に覆い被さった、私は「これはギャグにしたほうがよさそうだな」と思ったので笑い声をあげた、祖父は私の身体じゅうをひとしきりまさぐってくすぐった、中学の時だった、小一時間祖父と私とは息を切らして2階のうだるように熱い部屋の中で戯れた、服の上から下から指が這った、なんとかしたかった、祖父を相手にするなんてまっぴらごめんだった、いっそ殺そうかな…今ならまだ私は刑罰とか逃れるんじゃないか?という考えもよぎった、父のことも嫌いだったし、身内殺しの思考回路は私にとってごくごく普通のことだった。

 

祖父の纏う雰囲気を、祖母と比べた場合に述べるならば「血が濃そうだな」ということだった。
祖母には外国の血も入っていたが、祖父は妙に似た顔立ちの、どこか無愛想で排他的な親類が居る印象だった、住んでいる場所は山間だった、戦後、祖父はそこから就職のために街へと降りてきた若者だった。

 

母方の実家に泊まったときにも似たような経験をした、そこは日本海の漁師の街で、海面と家の高さがほとんど一緒の、空に圧されているような場所だった。

その時も、私の身の回りを守る男は居なかった、つまり殺したいほど憎い父がその街には来ていなかったのだ、妻の実家へ行くのが億劫だというふざけた理由でだった。

 

風呂場に居た私に母の兄が話しかけた、叔父である彼の言うことにはその場所に自分が今必要なものがあるから取ってくれないかという文言だった、私は既に外部の人間から性的暴行を受けていたのでこの種の言い訳には反吐が出る思いだったので、無視した。


「お兄さん達にはね、一人きりで会っちゃ駄目だよ」と母が言っていたのを思い出した。

そうこうするうちに叔父は部屋着で風呂場に入ってきた、私の裸をじっと見ていた、ちょっとごめんねと言って手が伸びてきて、下半身を擦り寄せられたようなところまでは覚えている、挿入されたわけではない…ということが「たいしたことはされてない」と外部から言われるであろう事が私には悔しかった、だからこの種の事を他者に言う気も失せていた、誰に言っても「怖かった」「酷かった」という気持ちだけは置き去りになるのが目に見えているからだ。

 

私は父を呪った、畜生、馬鹿親父め、こういう時ほど居ないんだから、役立たずの癇癪持ちめ、ゴミめ、母の実家に来たがらない内向的な父を私はどこまでも呪った。

 

結局どちらの事も、私は両親にすら告げなかった、叔父は早々に死んだ、私の怨念に取殺されたかのようだった。
一方祖父はじっくりと呆けていった、父が主に施設などの手配をした、父は、確かに私にとっては嫌なやつで、父にとっても私は見たくない同族嫌悪の娘であったが、それでも頼れる息子であり、おそらく私にとって唯一の…私の身を侵してくる奴らから身をていして私を完全に守る男だった、それが父だった、父はそういう奴だった。

 

父に祖父のことを告げたら、父はその場の怒りで祖父を殺すだろうと私にはわかった、私自身の血族間への憎しみの強さは、父譲りだからだ。

 

父に祖父を殺させたくなかった?
父を殺人者にしたくなかった?
今まで祖父が孫に優しかったその時間や行いまでも、泥まみれにしたくなかった?

 

波風を立てない、という言葉を私は醜いと思っている、ぶよぶよに肥えた偽善者めと思う、ではひたすらに華奢な被害者という言動をしたいのかというと、それもお断りだった。

 

母もきっと5人の兄たちのうちのだれかに、時たまこのような事をされていたのだろう、それを我慢したのだろうか?
それとも母のことだから、後先考えず瞬間的に殴り返したりしたのだろうか?
娘時代の母が自分のクラスメイトの男子を容赦なく殴って鼻血を出させたみたいに?
母は、私にとっては賢い女だが世間的には少し馬鹿だから、高校を卒業するまで兄と素裸で風呂に入っていたらしい、こんな血筋なんだと私は四肢の力が抜けてゆくのだ。

 

家というものが閉じた性質を帯びれば帯びるほど、鬱憤が溜り、こうした矛盾する性行為が続くのだと私は思う、人は進化したくないらしい、人は馬鹿で居たいらしい、自分の仲間が居た方が暖かいと思う愚かな生き物らしい。


家庭というものに、近所の人の目や全く見知らぬ第三者の目が介入すればするほど、家庭の空気は循環し、誰もが真人間であろうとする無意識的な力が芽生える。
このことを考えると、よそに異性が出来ることもある程度は夫婦が互いに許し合う風土が出来ない限り、近親婚は無くならない気がする。

 

近親相姦の被害を受けたという人も、自分の娘や息子といった自分よりも力の弱い存在に欲情するという人も、「外面の良い人間でありたい」という欲求を代々抱えてきた、近親婚の末裔ではないかという気がしてしまう、そのような遺伝子を抱えて生まれてきている哀れな人種、これは自分自身を含めて感じる事である。

 

これからの事を言うなら、自分の外面というものをひたすら繕ってしまう性質こそが、この種の性行為を助長させていると私は思う、それは既に遺伝子レベルでの働きなので、本人にもどうすることもできないかもしれない。
だが唯一、この状況や遺伝上の負の性質を脱するために言えるのは、自分とは異なる相手をひたすらに探すという労力をないがしろにしないということ、のような気がする。

 

私は昔から自分の血が汚れているような気がしていて、それは最早自分自身という存在を超えて伸びている絡まった蔓草のようだと感じている。
私が今しているのは、この蔓草をむしることである。
自分から生えている醜い草を、むしり取ることである。


それが何かのあがないになる気がするのだ、近親婚で生じた草は、やはりどこか弱い、弱いので近親者と結びつこうとしてしまうのだ、そんな草は根ごと捥ぐよりほかないのだと、血族への憎悪の強い私の心身は、叫んでいるのである。