大熊あれいブログ

絵画やイラスト、詩や独白文章を公開しています。不定期です。

月面球【詩】

ラブホテルのエレベーターの中

文字盤のあたりに月面の壁紙

 

どうやら

 

辿り着けない場所へ行くらしいねと笑い合う

誰がこんなことを

 

あなたの

髪の匂いがわかるほどそばへ

 

 

月はその実トンネルの向こう側の光なのだよ

あれは球体なのではなくて

空洞なのだよ

あれは次の世界への光

辿り着けない場所からの光

私の腹部からの光

  

私たち二人は雄雌の対となって月世界へ

エレベーターは上昇してゆく

 

 

私は問いかけを

覚えている

父母よ

月面球のこの世も

私にはいつまでも慣れぬ

だから景色はいつも色鮮やかなのだ

 

わかったのはただ一つだけ

どうやら月面は

私自身の腹部へと繋がっているらしい

女の腹が丸いのはそこに月面球が在るからということだけ
自分が外部だと思って歩みを早めた先が体内だったなんて

この世の仕組みというものはやはり理解を超えている

 

3階のどこかの空間にあと2時間ほど私たちの部屋となるらしい

あなたの髪をたった2時間

味わう部屋へ誘われてゆく

 

 

どうして生まれ出でて尚

体内の月面へと私は誘われるのだろうか

誰がこんなことを

 

辿り着けぬ月面を

二人で見つめた瞬間こそ一致していた

 

深く

腹の中へ

腹の中へ

月面へ