大熊あれいブログ

絵画やイラスト、詩や独白文章を公開しています。不定期です。

【詩】右手に積もる黄色いスポンジ


屋根を打つ雨音、雨音、雨音、土手を越え田畑まで避難してきた鴨の、どこか機械的な鳴き声。

私は枕をちぎっている、明日は雨の中歩くのだ、台風の中歩くのは、歩いてさえしまえば気持ちよいのではないか。

右手に積もる黄色いスポンジ、低反発のスポンジ製枕を私は床でちぎっている。

頭の形に合わせるため、低くしているのだ、行き過ぎた雨乞いを止めるための儀式みたい、女が一人、一軒の木造家屋の中、必死に何かをちぎっている。
これは土着の儀式で、誰にも見られてはいけない。

川はあふれそう、あふれて道まで水流が来たなら、もう家まですぐ。

私がもし野生のままに生きていたらなら、崖を越えてその向こう側へ、水から離れたところへ身を移すだろうに。

街明かりが私を思考停止させている、自分宛に淹れられたコーヒーも、私を留まらせている。
黄色いスポンジの山が言う…ここに居て…何の根拠もない励ましの言葉。

海の匂い、飛んでゆく青鷺の恐竜じみた声、濁流を遡れば、呪いの支配する過去の時代へも、ゆけそうな大雨の夜。