a.oブログ

詩や創作文章を公開しています。

骨と海の匂いのする夏

夏の匂いが辺り一面に充満している、臭いな、海の匂いだ、海の匂いのする夏が来る、この匂いのせいで全部余計なものだらけになったじゃないか、全部腐るじゃないか、骨はそう言った。俺がいなければお前なんかただの皮袋だ、脂肪と肉の塊だ、お前なんかただ…

夜半過ぎ

夜半過ぎ、石畳の小径の向こう側から静かな音色が聞こえた。音は一粒一粒が小さな星のように揺れていた。女は、癇癪持ちの骨を起こさないように魂だけゆっくりと起き上がり、戸口をそっと抜け出でて、石畳の上を泳いでいった。 ほのかな音の粒を追ってゆくと…

宗教勧誘の断り方と創価学会あれこれ

創価学会について書いたのなら、創価学会及び宗教の勧誘の断り方を書かないと話が締まらないという気持ちに駆られ居ても立ってもいられなくなった。 しかし私の性質上、話を推敲せず思うまま書くので、実際の断り方のアプローチだけを読みたい!という方は… …

宗教と家庭

宗教の話をすると人が逃げて行くが、その割に神社仏閣には利益を求めているようで、私はそのあたりの事情が未だによくわからない。私の育った家庭では、父は無宗教。母は創価学会をやっていた、それも母の両親の代から。母の両親は戦争体験者だ、母方の祖父…

浮いちゃう人

子供の頃、こういう雨の日に襲われた。今日みたいな雨の日もあったし、もっと轟音の雨の日もあった、奴らは卑怯だ。人間は屑だという意識が湧き上がる。 どこへ行っても集団の中で大概浮くので、人との繋がりというものに何故そこまで熱くなれるのか不思議で…

一番困っていること

ちょっと怖いなあと思っていた人にまっすぐな笑顔を向けられ、意外なほど何かが通じ合い、自分が人見知りしていたのだと気付いたことが最近2度もあった。 今までわからなくてすみません、あなたを知ろうともせずに居てごめんね。 そのうち一人は職場の人な…

ハーレム主義と唯一の相手

「一緒に死んでくれないか」という頼み事は互いに心からそう望んでいた場合強烈な快楽をもたらす。同意の死は生きることとは真逆なのに快楽なのだ。 性に於いても唯一の人を探すのが真実の愛のように語られる。同意の性、唯一の人を互いに探し出せた人こそが…

100人に一人

整形外科医に、階段の上り下りの時に痛む事があり、この調子で60歳までのあと20~30年過ごすのは困難だから、骨切り術(寛骨臼回転骨切り術)をやりたいと申し出る。昨今は、若い人も人工股関節化しているようだが手術を繰り返す(入れ替えが必要なため)度に歩…

客室の舞い

朝のホテルは薄暗い。外階段側のドアを開け、機能するのかどうなのか不明の非常ベランダの扉も開ける。この二つを開けると通路に光が差し、さらに空になった客室のドアを開ければ客の残り香が消えて行く、一つ一つの部屋がきちんと死んでゆく。 その時客室は…

骨切り手術に至るまでの思考模様

鳥になりたいので唐揚げを作って食べている、ニンニク醤油唐揚げの大葉のせ。鳥になるのは舞い上がるためだ、俯瞰するためだ、身体の内に居てはならない、思考模様が見えない。 臼蓋形成不全で骨切り手術しようかと考えている。 2ヶ月ほどの入院、半年ほど…

「今」の制作手順

「今」の制作手順をご紹介します。 今の空気、今の味、今の景色をかき集め、緩やかに、無限記号を描くように「今」をひとつの球状の物体にします。「今」が物体になったのを感じ取れたら、その今を、両手でこねていきましょう、少し根気の要る作業です。「今…

カラスの森

少年はカラスを捕まえていた。寺院までの道のりは長かった、それまでに何羽捕まえられるか少年は楽しんでいた。寺院に併設された広大な敷地の内ほとんどが、庭園になっていた。その庭園から見えないように、数の増えすぎたカラスは捕らえられ、網の張られた…

影は海の色をしている

真夜中、影と話をした、影は身体の奥深くに潜んでおり日中は出てこない。稀に、日中でも影として立ち現れ、それを見た人を酷く混乱させるらしい。影は言う、「人間はすべからく近親殺しの末裔だ」、影は叫び声を好む。影は海の色をしている。 死んだ人間が子…

死後空港

「死後空港」は広大だった。 女は意識が遠のいてからの日数を覚えておらず、気がついたらこの空港へ来ていた。自分の肉体が、あの趣味の良い静かな家の中で腐敗し、破裂し、どこからともなく小さな虫たちが湧き出でて、彼等の新たな王国の苗床になっていること…

ギター

洞窟の中は湿っていた、女はそれとなく洞窟内の岩肌に手をついたが、何かが這うような気配を感じ手を引っ込めた。 「呼ばれている」 嫌な予感は拭えなかった。カラスが一回鳴いた、大丈夫という意味だ。外のカラスが二回鳴いた、まだ大丈夫という意味だ。木々…

洞窟

神託はいつも「今」と出た。洞窟のすぐそばの祭壇で女はカードをめくり、自分が神託を引き始めてからというものずっと、この神託の結果が変化しない事について、不思議さを通り越し女は半ば呆れていた。外は快晴だった、南洋特有の甘く腐ったような匂いは女を…

代理

「あなたの子供って本当に可愛い、ちっちゃな鳥みたい」 女はそう言って素裸のまま写真を見つめていた、昼下がりの光がブラインドを通して女を照らしていた。 「ねえ、子持ちの浮気ってきっと、自分たちのペアが死んだらって時の事を考慮して、子供を育ててくれ…

診療時間

あの人は他者の言葉や態度の奥に、幾重もの光の帯が連なっているのを見ることが出来るのです。私にはすれ違う人や大勢の他者のことは、ただ漠然と砂粒のように映ります。あの人はそれを見ることが出来る、だからあの人はいつも光の帯を纏っています、だから…

シスターメイの秘蹟

修道女は昼下がりの礼拝堂で、跪いて夫を見ていた、夫は祭壇で高らかに教えを述べていた、夫のものではない教えを、神の教えを、イエスの精霊について彼は自動的に述べていた。述べる、というのは少し語弊があった。というのも修道女の夫の述べているのは…そ…

右腕に小さな火傷をしてしまった、僕はほんの一息、ため息をついて仕事場を後にした。連休明けだが休みは無い、身体的な立ち振る舞いとしては僕は仕事をしている、それも休み無く数十日に渡って。信号の灯りが虚空から何かを訴えているようだった、深夜だっ…

脱皮

女は鏡に映った自分を見た、鏡には意外なほど健康そうな様子の女が居た、内部から光っているような女が鏡の中に居た。女は苦笑した、と同時に考えを改めてもよい気がした。 「過去は幻想、かしらね」と、女は呟いた。「黄金の時間を過ごしてきた人物、で、いい…

魂についての彼女の話

「魂って電池みたいに、ただの力として身体に入ってくるだけなんじゃないのかしら、電池を抜いた機械はただの器だけれど、電池が入るとまた視点が生じる、人間も一日眠ったら、魂は入れ替わってるんじゃないのかしら…昨日と今日の私は別の魂かもしれない、き…

老人と人影、あるいは魂

「ここにも出たよ、出てきたよ、そろそろ行くしかない」 老人は菓子の入った袋を持ち上げた、すると中から小さな沢山の人影がこぼれ落ちた。こぼれ落ちた人影たちは一時的に慌てていたが、やがてまたテーブルの上をうろうろと、落ち着いた様子で歩き出した。家…

鈍色の鉄球

大きな鉄球を抱えてるみたい、と女は思った、仰向けのまま、朝まで姿勢を崩さずに横たわるのは独特の試練だった。これが定住するってことね、と女は思った、定住は避けるべきだと彼女の親は口酸っぱく言っていた、その分の税を払うことになるぞ、と。税って…

個人的快楽を生きること

人間らしい生き方、人間としての尊厳、そういうものを突き詰めてゆくと、個人の喜びに行き当たる、個人的快楽に行き当たる。 以前介護施設で研修を受けた事がある、その介護施設には介護度の高い高齢者が入っていた…というよりも収容されていた。何故なら、…

ロミとシンの道しるべ

「あの子に気付かれずに済んだね、シン、あの送電線をニライカナイへの道しるべだと言って歌ってた、この裏山が船になって送電線を伝って海原を越えるんだって…もういい歳なのに」 老人は妻の言葉に静かに頷いた。鬱蒼と視界を遮る初夏の草木、虫の音、そこは…

記憶の鳩

「記憶の鳩記憶の鳩」その言葉を女は繰り返していた。 女が言うには、葉を嘴に咥えた鳩の絵柄は、記憶を呼び戻すためのものらしい。 その葉に記憶に作用する効能がある、あるいは葉自体に記憶が含まれている、鳩が記憶の欠片を持ってきてくれる、「この絵柄を見…

両親の心中予定

現在60歳になる両親は80歳になったら二人で死ぬという、「命日を一緒にする」らしい、果たして可能だろうか? …両親の自殺を手伝ったら罪になるだろうか。手伝ってくれと言われたわけではないが…そう言われる可能性がない訳でもない。 自殺幇助、のみなら…

雨乞いをしているよ(詩)

雨乞いをしているよ。 日差しの中は危険だ、木漏れ日もいけない、幻覚を見るから。涼しい風の中をてくてく歩き回って、あの世まで続いている歩行会の人々の列をくぐり抜け、妙だなと思った、地面が光を帯びている。光っているのは真昼の太陽のはずなのに、地…

自殺がタブーである理由と素人的量子論

肉体や数字…行為以外の環境が幻に等しいという感覚が私を取り巻いている。だとしたら肉体が消滅したら、意志の世界へ行けるのだろうか? 昼下がりの窓辺で、あの人と見つめ合い、舌を出し入れする夢を見た、こうした恥ずかしい情熱も丸出しになるのが死後の…